2011年5月17日火曜日

情報収集衛星は震災の役には立たない

本日(といっても投稿する段階では昨日)の朝日新聞で「情報収集衛星―震災で役立っているか」という社説が出た。結論から言うと、かなり素人っぽい議論(私も技術は素人だが)で、かなり残念な気分となった。やや揚げ足取りになるかもしれないが、この社説を踏まえて情報収集衛星の役割についてコメントしたい。

この社説では、まず情報収集衛星が「我が国の安全の確保、大規模災害への対応その他の内閣の重要政策に関する画像情報の収集」という目的に設定されている、ということが問題視されている。

情報収集衛星の導入の過程については、日経新聞の春原記者が書いた、『誕生 国産スパイ衛星 独自情報網と日米同盟』というルポルタージュが優れているが、これを見るまでもなく、情報収集衛星は1998年の北朝鮮によるテポドンの打ち上げがきっかけとなっている。この時、日本は事前にアメリカからの情報が得られず、結局、情報を自前で入手することが重要であると認識して、偵察衛星の導入に踏み切った。

しかし、当時日本には1969年の「宇宙の平和利用原則」を定めた国会決議があり、その決議に従って、防衛庁(当時)が衛星を運用することは認められなかった。そのため、「多目的衛星」という「建前」を作ったが、そうすると今度は1990年の日米衛星調達合意に抵触するという状況が生まれた。この日米衛星調達合意というのは、日米貿易摩擦が盛んになった1980年代に、アメリカが日本の「不公正貿易」を修正するため、随意契約で調達していた政府調達市場を国際的に解放することを求めた結果結ばれた合意である。これにより、「実用衛星」であれば、国際的に調達しなければならず、日本は偵察衛星の仕様を国際的に公開し、外国の衛星を導入させられる可能性が高まった。

その結果、防衛庁でもなく、「実用衛星」でもない衛星として「危機管理衛星」という新しいカテゴリーを生み出し、内閣情報調査室が運用する危機管理のための衛星という位置づけにすることで、商業的な「実用衛星」でもなく、また防衛庁が運用するわけでもない衛星、という位置づけを生み出したのである。

その結果、「建前」として、朝日新聞が書いたような「我が国の安全の確保、大規模災害への対応その他の内閣の重要政策に関する画像情報の収集」が情報収集衛星の目的となったのである(この点については拙著をご参考ください)。なので、このような歴史的経緯があるため、情報収集衛星を「建前」どおりに運用するような体制ができていない、という現実がある。

確かに、大規模災害の時に、日本が持っているアセット(宇宙資産)は活用されるべきである。しかし、もともと偵察目的に持っている情報収集衛星を動かすよりも、むしろ、以前のブログで書いたように、防災を目的とし、防災訓練までやっていたJAXAの衛星が使えなかった方が問題なのではないだろうか。なぜ朝日新聞はそうしたJAXAの問題を指摘せず、情報収集衛星だけを取り上げたのか、疑問は大きく残る。

確かに朝日は最初から情報収集衛星の導入は「宇宙の平和利用原則」に反するという立場をとり、断続的に情報収集衛星を批判してきたので、その一環であることは理解できる。しかし、そうしたイデオロギー的な立場から、現実の問題が見えなくなっているのではないか、と強く懸念する。

というのも、情報収集衛星は「建前」として大規模災害などに資する、とされているが、技術的にみると、情報収集衛星はこのような大規模災害には向かない衛星であることが分かる。これはJAXAのホームページにしっかり書かれている。ちょっと引用しておこう。

「一般に、観測センサの分解能を上げれば細部まで見えますが、扱うデータ量も膨大なものとなり、広い地域を一度に観測することは難しくなります。陸域観測を行う衛星の設計では、衛星の用途に応じて分解能と観測幅、データ伝送性能の総合的なバランスが考慮されています。

 一般的な偵察衛星(軍事衛星)は、非常に高分解能のカメラを搭載しており、低い高度から対象とする地点をピンポイントで撮影する機能に特化しています。従って細かいところまではっきりと識別できる反面、広い地域をくまなく観測するような用途には不向きです。また、撮影対象地点がどこかということを事前に調べておく必要があります。

 一方でALOSは地図作成をミッションとしているため、回帰日数の46日間で全世界を隙間なく観測し、その全て観測データを地上に伝送することが可能です。
 ALOSの観測データは、膨大なデータを効率よく地上に伝送する大容量のデータレコーダとデータ中継衛星を駆使することで、全世界のデータベースとして蓄積される予定になっています。」
(出典:http://alos.jaxa.jp/1/faq-06.html

つまり、偵察衛星として設計された情報収集衛星は、カメラでいえば望遠レンズのようなもので、ピンポイントの地点の撮影で詳細な画像を得ることはできるが、大きな画を撮ることはできない。逆に、震災直後に機能停止したALOS(だいち)は幅広く地形を観測し、大量のデータを転送することが出来る。これを技術的に言うと衛星が搭載するセンサーの「観測幅(Swath Width)」が広いとか狭い、といういい方をするが、ALOSはPRISMというパンクロ・センサー(白黒写真を撮るセンサー)で最大70kmの観測幅、AVNIR-2という可視近赤外センサー(簡単にいえば高性能な赤外線センサー)で70kmの観測幅、PALSARというレーダー(電波を反射させて画像を取得するセンサー)では、最大で250kmの観測幅を取ることが出来る。今回の震災のように広範囲にわたる災害が起き、県庁や地方自治体が被害の全容を把握し、震災後に変形した地形を理解するためには、こうした観測幅の広い衛星が必要である。

逆に、情報収集衛星の観測幅はどのくらいのものか。情報収集衛星の諸元は現在では公開されていないため、正確なことはわからないが、実は情報収集衛星が導入されるときに宇宙開発委員会などの公開の場で情報収集衛星に関する議論がなされたことがあり、その時の資料によれば、光学衛星(カメラのように画像を取る衛星)で10-20km、レーダーで10kmの観測幅が想定されている。つまり、ALOSに搭載されているセンサーよりもはるかに狭い地域しか撮像できず、ピンポイントの情報(たとえば福島第一原発の状況)を得るためには情報収集衛星は役に立つであろうが、東北各地の地方自治体が災害対応を進めていくうえでは極めて使いにくいデータしか収集することが出来ない。

なので、朝日新聞の社説で「文字通りの大規模災害だから津波の状況など、まさに宇宙からの情報収集が役立ちそうだ」というあたりは、かなり子供っぽい発想のようにも思われるし、「宇宙からの詳しい画像があれば、何百キロにも及ぶ海岸地帯のどこがどのように被災したか、たちどころにわかる。建物や道路などの現状も見てとれる」というのは、すでに述べたように、情報収集衛星ではなかなか難しい。しかも「たちどころにわかる」というのはウソである。衛星は約90分で地球を一周するが、地球が自転するために衛星が戻ってくる場所が少しずつずれるため、一つの衛星は2日に1回の割合でしか同じ地点(東北地方は南北に長いので、一度通ると2日後まで戻ってこれない)に戻れない。現在、情報収集衛星は、本来の4機体制から、2機のレーダー衛星の故障により、2機の光学衛星しか使えない状況である。なので、二つの衛星を組み合わせても、1日1回、しかも90分で地球を一周するので、東北地方の上空にいられるのは、どう頑張っても15分程度である。つまり、1日のうち15分しか見えないのである。なので災害が起きても、最悪の場合、翌日まで画像を撮ることができない。

また、朝日新聞は「今後の復旧作業に向けても、画像は有用なはずだ」ともいうが、これもすでに述べたとおり、観測幅の広いセンサーでないと、復旧に必要な広域的な地理情報を得ることができない。また、AVNIRのような赤外線センサーも搭載していないため、情報収集衛星から得られるデータではわからないことも多い(たとえば土壌の塩害の程度など)。

さらに、朝日新聞は「多くの国民が目にしたのは、米国の商業衛星が撮影した、解像度50センチの驚くほど鮮明な画像だ。政府や研究機関ももっぱらこれを購入している」と述べているが、これもやや誤解に基づくものと感じる。国民が目にした画像というのは福島第一原発の事故直後の衛星画像のことであろう。米国の商業衛星を運用する会社の人にも知り合いがいるので話を聞いているが、震災が起こった直後にアメリカ、ヨーロッパ、イスラエルなどが保有している商業衛星の運用会社は一斉に東北、福島上空の画像を取るよう指示を出したという。というのも、こうした画像が高い値段で売れることが分かっているからである。原発の事故では地上や航空機による接近が難しいため、衛星画像が重要な役割を果たす。しかし、数日もすれば、無人偵察機や遠方からの望遠撮影によって、それなりの画像は入手できるようになる。そのため、商業衛星の運用会社は紛争や事故などがあると、即座にそこに衛星を向け、画像を取るようにしている。この即応性が彼らの商売の命だからである。そのため、彼らがあっという間に原発の画像を撮像し、それを公開したことで国民の目に触れたのである。しかし、覚えておいた方がよいことは、今、宮城県でも岩手県でも、主要な自治体の会議室には、外国の商業衛星が撮影した画像は貼られていない。その代わり、JAXAのALOSが機能停止寸前で撮像した東北地方の大きな画像が貼ってある。朝日新聞は、是非それを現場で見てほしい。災害復興にピンポイントしか撮像できない衛星画像は必要ないのである。

なお、こうした情報収集衛星への批判は朝日新聞に限ったことではない。自ら「宇宙政策提言をめざすシンクタンク」と定義する「宙の会」というウェブ上の宇宙政策フォーラムにおいても、同様の議論がみられる(この「宙の会」の幹事会になぜか私も入っているので、あまり批判をする立場にはないのだが・・・)。ここでは2011年3月26日27日4月22日の三回に分けて、白子悟朗氏(元NEC技術士)が「今こそ、情報収集衛星の姿を!」という議論を展開しているが、ここでの議論も朝日新聞の社説と大筋で議論の方向性は違わないので、改めて取り上げないが、こうした情報収集衛星への批判は根強くあることだけは確かである。それは技術者であっても(NECは情報収集衛星の開発の主契約会社ではなかったが)同じようにみているのである。

情報収集衛星は、「建前」では大規模災害などにも使う、ということになっているが、衛星の設計自体が大規模災害に向かない作りになっている。確かに「建前」であっても、民主主義国家において、政府が「大規模災害に使う」と言えば、それをやっていないことは適切ではなく、批判されるべきことである。しかし、先にも述べたように、この「建前」が導入された経緯は、極めて厳格で現状に合わない「宇宙の平和利用原則」決議があり、他方でアメリカから押し付けられた日米衛星調達合意があるなかで生まれた苦肉の策というか、方便であるということも念頭に置いておく必要があるだろう。

つまり、大事なことは、情報収集衛星が「建前」通りに使われていないことを問題にするのではなく、正々堂々と衛星を使って日本を平和にする、ということを目的とした衛星を作ればよいのである。そのために、2008年に宇宙基本法が制定され、そこでは第二条で「宇宙開発利用は(略)日本国憲法の平和主義の理念にのっとり、行われるものとする」としたうえで、第三条で「宇宙開発利用は、国民生活の向上、安全で安心して暮らせる社会の形成、災害、貧困その他の人間の生存及び生活に対する様々な脅威の除去、国際社会の平和及び安全の確保並びに我が国の安全保障に資するよう行われなければならない」という文言を入れたのである。このように、現在の日本の宇宙開発では、日本国憲法の平和主義の理念を尊重しながら、国際社会の平和と安全の確保ならびに日本の安全保障のために使っていく、ということになっているのである(宇宙基本法の条文)。

ここでもう一つ解説を入れておく必要があるのが、日本国憲法の平和主義に則り、国際の平和と安全および日本の安全保障のために衛星を使うという意味である。日本国憲法は、その第九条第一項で「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」としている。私は憲法学者ではないので、法解釈を論ずるつもりはないが、この条文を素直に読めば、国際紛争、つまり外国との摩擦や対立関係が生まれた場合でも、武力によってそれを解決しない、ということを意味している。つまり、国際紛争(たとえば尖閣諸島の問題など)は必ず起きるのであるが、それを武力を使わずに解決するということは、話し合いで解決する、ということになる。となると、相手が何を考え、どのような準備をし、日本との関係をどうしようとしているのかを知った上で交渉をする必要がある。対立関係にある相手に対し、手ぶらで何も考えずに交渉に向かっては、結局相手にやり込められるだけであり、国際紛争の解決どころか、日本が一方的に譲歩する、ないしは相手の言いなりにならざるを得ない状況になる。つまり、日本が外交交渉で国際紛争を解決しようとするならば、その交渉に万全を期し、必ず成功させるための準備をする必要がある。その準備とは、相手のことを知り、相手の機先を制することにあるだろう。そのためには、情報を収集する必要があるのであり、他国の情報を収集する手段として、国境を越えて画像を取得できる衛星は有効な手段なのである。

つまり、日本が憲法の平和主義に則りながら、自らの安全保障を確保するためには、外交交渉で負けないための情報収集が必要なのである。そのための情報収集衛星である。にも関わらず、どういうイデオロギーか知らないが、実際に衛星の機能や役割も理解しないまま、情報収集衛星を盲目的に批判するような議論を展開する人たちがいる。他者の価値観にあれこれ言うつもりはないが、少なくとも冷静に現実を見た議論が展開されることを望む。

9 件のコメント:

  1. 故元助手A.T.2011年5月17日 8:28

    し、知らぬ間に単著を仕上げていたのですね...おめでとうございます。
    本題と関係なくて申し訳ありません。

    本題ですが、あの社説とイデオロギーとはそこまで関係ないのではないでしょうか?宙の会(もしくは白子悟郎さん)を存じ上げないのですが、こちらもイデオロギーにとらわれていないのでしたらceteris paribusではないような?
    社説の指摘する問題点は、単に広い意味での情報開示不足でして、このブログに書いてあるような情報収集衛星の機能・特性さえわかればよいわけですよね。後は、この情報を調べる義務を報道する新聞記者(社説執筆者)が負うべきか、それとも当局が積極的に説明する義務を負うべきかということのような気がします。
    しかし「宙の会」ときくと、ちょっとお洒落?すぎて札幌のワイン同好会かなんかかと思いました。個人的には「めぐりあい宇宙」に興味津々ですが...

    返信削除
  2. コメントありがとうございます。まず「イデオロギー」という表現についてですが、私の意図としては「マルクス主義」とか「新自由主義」といった大きな価値体系を指しているのではなく、「宇宙の平和利用=軍事的に関連した行為に使ってはいけない」という価値観のことを指しています。なので、ちょっと誤解を招いたかもしれません。

    情報開示不足はその通りだと思うのですが、本文でも述べたとおり、情報収集衛星は偵察衛星として想定されているものであり、偵察衛星の情報というのは古今東西を見ても、基本的に開示しないというのが一般的です。内閣衛星センターの言い分だと「手の内を知られたくない」ということなのですが、衛星の軌道や仕様についてはある程度想像することができます。なので、偵察衛星の情報を隠す理由は具体的な仕様を知られるのを避けるため、というよりも、「戦略的あいまいさ」を維持することにあると考えています。つまり、「いったいこの衛星は本当に何をやっているのだろう」と疑問を持たせることで、「もしかしたら、自分のやっていることが丸見えなのかもしれない」という不安感を創出して抑止力に代えるという考え方です。なので、各国とも偵察衛星の情報をわざと開示しないのです。それを朝日新聞のように影響力のあるメディアが理解していないというのがちょっと気になります。私のような部外者で素人でもある程度の常識をもってすれば、情報収集衛星の観測幅を想像することはできるので、朝日新聞にそれができないはずはありません。それなのに、「宇宙は平和利用されなければならない=軍事的な行為に関連しそうなことはしてはならない」という「イデオロギー」が邪魔をして、そうした簡単な推測すらできなくなっているように思います。

    「宙の会」ですが、Googleなどで検索してもらうとわかりますが、これは殺人事件の被害者家族の会の名前と同じで、やや紛らわしいですね。いずれにしてもワインとは関係ないですが。

    返信削除
  3. 故元助手A.T.2011年5月17日 13:46

    宙(そら)という民事法の先生御用達のワインバーが札幌にある(あった)んですよ。大通のお店は閉店してしまったのですが...

    返信削除
  4. 札幌の駅ビルのところは行ったことがあります。民事法の先生方はおしゃれなところで飲んでいらっしゃるのですね。

    返信削除
  5. 故元助手A.T.2011年5月18日 7:08

    「先生方」ではなくて「先生」です。具体的には(空気が読めるほうの)KY先生のお気に入りでした。私を含めて他の多くの先生はかんろ一筋です。

    返信削除
  6. 内閣衛星情報セソター2011年6月22日 20:49

    ○ 大震災にはどれだけ役立ったのかお教え願いたい。
    ● ( 内閣情報調査室) 内閣情報調査室において、情報収集衛星を運用する内閣衛星情報センターからの情報も含め、必要な情報を収集分析しており、その一環として、集約された情報に基づき被災状況推定地図を作成し、3月11日の大地震の後、13日から、官邸、関係行政機関等に配り出した。危機管理対応として重要な点は、どこに津波の被害があり、どれだけの体制で政府等が対応すべきかが一番重要で、それを分かるようにするのが我々の目標であった。配布した地図については関係行政機関等から現地対策本部等にも配って頂いた。その後、国土地理院、パスコなどでも類似の資料を作成されているが、我々が一番初めに危機管理対応に必要だということで被災状況推定地図を作成した。原発についても、官邸、東京電力の対策本部に毎日のように商用衛星の画像をお配りした。

    http://www.kantei.go.jp/jp/singi/utyuu/senmon/dai13/gijiyoushi.pdf

    返信削除
  7. 内閣衛星情報セソター様、有益なコメントありがとうございます。この投稿では朝日新聞の社説に対してコメントしたので、情報収集衛星が全く役に立たなかったような書き方になってしまいましたが、別の投稿(「大震災と宇宙技術」というにはちょっと足りないhttp://kazutosuzuki.blogspot.com/2011/05/blog-post_24.html)では、以下のように述べております。

    「分解能と観測幅の関係があり、用途によって分解能は低くても観測幅が必要な場合と、観測幅が狭くても分解能が高い画像が必要な場合があります。そのため、衛星は「ベストミックス」が必要で、分解能が高ければよいというのはかなり単純な議論です」

     なので、情報収集衛星がまったく役に立たないと言うのは言いすぎで、分解能が高い衛星も分解能が低い衛星も、異なるニーズに対応するためには必要だと思います。
     ただ、一つこの専門調査会でのヒアリングで衛星情報センターが述べたことで気をつけたいのは、このセンターが情報収集衛星だけでなく、商業衛星のデータも使って情報を提供していた、ということです。情報収集衛星だけでは撮像頻度が限られるので、さまざまな商業衛星のデータも含めて提供しています。なので、「情報収集衛星」だけを取り上げて、震災の役に立たせるという議論はあまり意味がなく、衛星情報センター全体で、情報収集衛星も使って、災害時の対応をするということが適切な議論なのだろうと思います。その点、朝日の社説も読売の解説も「情報収集衛星」だけを取り上げているので違和感がありました。
     いずれにしても、私個人としては内閣衛星情報センターが震災時にさまざまな衛星画像を使って情報提供してきたことを疑うわけではありませんし、それが政府の災害対応に貢献したことも疑っているわけではありません。ただ単に、「情報収集衛星」だけを取り上げて、それがあれば震災の対応ができる、というような議論がおかしいと思っているだけです。
     なにはともあれ、情報提供ありがとうございました。

    返信削除
  8. 私が衛星情報セソターさんのコメントに回答したコメントが表示されないので、再掲します。

    ===以下、再掲===

    内閣衛星情報セソター様、有益なコメントありがとうございます。この投稿では朝日新聞の社説に対してコメントしたので、情報収集衛星が全く役に立たなかったような書き方になってしまいましたが、別の投稿(「大震災と宇宙技術」というにはちょっと足りないhttp://kazutosuzuki.blogspot.com/2011/05/blog-post_24.html)では、以下のように述べております。

    「分解能と観測幅の関係があり、用途によって分解能は低くても観測幅が必要な場合と、観測幅が狭くても分解能が高い画像が必要な場合があります。そのため、衛星は「ベストミックス」が必要で、分解能が高ければよいというのはかなり単純な議論です」

     なので、情報収集衛星がまったく役に立たないと言うのは言いすぎで、分解能が高い衛星も分解能が低い衛星も、異なるニーズに対応するためには必要だと思います。
     ただ、一つこの専門調査会でのヒアリングで衛星情報センターが述べたことで気をつけたいのは、このセンターが情報収集衛星だけでなく、商業衛星のデータも使って情報を提供していた、ということです。情報収集衛星だけでは撮像頻度が限られるので、さまざまな商業衛星のデータも含めて提供しています。なので、「情報収集衛星」だけを取り上げて、震災の役に立たせるという議論はあまり意味がなく、衛星情報センター全体で、情報収集衛星も使って、災害時の対応をするということが適切な議論なのだろうと思います。その点、朝日の社説も読売の解説も「情報収集衛星」だけを取り上げているので違和感がありました。
     いずれにしても、私個人としては内閣衛星情報センターが震災時にさまざまな衛星画像を使って情報提供してきたことを疑うわけではありませんし、それが政府の災害対応に貢献したことも疑っているわけではありません。ただ単に、「情報収集衛星」だけを取り上げて、それがあれば震災の対応ができる、というような議論がおかしいと思っているだけです。
     なにはともあれ、情報提供ありがとうございました。

    返信削除
  9. 攻撃機→支援戦闘機
    駆逐艦→護衛艦
    偵察衛星→情報収集衛星

    めんどくさいね

    返信削除