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二日目の最初のスピーカーは欧州宇宙機関(ESA)の宇宙監視及び追跡マネージャーのエメット・フレッチャー氏。ESAは設立当初からデブリの発生を避けるための規則を適用してきた。しかし、欧州の活動として注目するのは、EUが提案したCode of Conduct(CoC:「行動規範」)がある。これは現在、アメリカが提唱しているInternational Codeof Conduct(国際行動規範)の基礎となっている。欧州のレーダー、光学センサーは各国が整備したものであり、ESAとして持っているわけではない。そのため、ESAは2008年11月の閣僚理事会で汎欧州SSAプログラムを決定した。ここでは、欧州「独自(Independent)」のSSA能力を構築することが定められた。今年の11月により詳細なSSA戦略を採択するため、現在調整中。ESAはISO(国際標準化機関)、CCSDS、ECSSといった国際的、地域的団体を使って、センサーデータやカタログの標準化を進めようとしている。こうした動きとともにアメリカとの協力を進めている。Exchange of services, exchange of inputs, interoperabilityのルール作りを進めている。
(鈴木:SSAにおいても、ESAと加盟国の間の調整が難しく、加盟国が求めているものとESAが求めているものが異なる。それは軍と民が求めるものが違う、ということに起因す
る。また、欧州「独自」を強調するのも面白い。外国(特にアメリカ)の言うなりになるのではなく、自分たちで必要なデータを取得、分析できるようになったうえで、国際協力を行うという考え方に基づいている。)
(鈴木:ESAはISOなどを通じて、データの標準化を進めようとしており、アメリカに後れを取りながらも、この分野での国際協力枠組みのリーダーシップを握ろうとしている。技術や設備で優位に立つのではなく、ルールやスタンダードで優位に立とうとする姿勢は、私がこれまで論じてきた「規制帝国」の考え方と全く同じ。しかも、欧州域内での調整を進め、足元を固めてからアメリカと交渉するという、そつのなさを感じる。)
次のスピーカーはフランス国立宇宙研究センター(CNES)のフェルナン・アルビー氏。デブリの追跡に関しては欧州で一番の専門家。フランスは空軍がDetection(監視・発見)、CNESがPrediction(解析・予測)を行い、空軍と国防省がMeasurement(実測)を行う。CNESは軍とCivilianの両方の性格を持っているので軍民の協力はスムーズ。常に13-18の衛星を監視し、2011年には122のリスク件数があり、15件のデブリ回避行動がとられた。デブリ対策を今から始めたとしても、すでに軌道上に衛星があり、これらはきちんと対策が取られていない。ゆえに、デブリ低減の努力も10年間は古い衛星の面倒を見なければならない。
(鈴木:やはりリアルなニーズがあるところは、自らSSAをやる必要があると認識し、そのための投資と仕組みづくりをする。日本がこれまでSSAをやってこなかったのは、逆に言えば、宇宙にリアルなニーズを感じていなかった、ということだろう。)
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二日目午前の後半は日本のスピーカー。最初は日本宇宙フォーラムの吉冨さんとJAXAの成田さん。吉冨さんは日本宇宙フォーラムが持つデブリ観測施設の紹介。日本のレーダー観測施設は1350kmのレンジで1mの物体を認識できる設備。最初から高い水準の物ではなく、パイロットプロジェクトとして建設されたという経緯がある。
(鈴木:日本宇宙フォーラムは、このシンポジウムの主催者で吉冨さんは事務局長的な役割をしていて忙しいのに、スピーカーをやっているので大変そうだ。日本宇宙フォーラムはJAXA・文科省が所管する財団法人だが、この日本宇宙フォーラムの下に日本スペースガード財団という組織があり、ここが上齋ヶ原のレーダー観測施設、美星の光学観測施設を運営している。元々は地球近傍の小惑星などを観測することが目的であり、最初のパイロットプロジェクトとして導入されたため、観測精度は低く、SSAの能力としては低い。施設を紹介するときに、ちょっと悲しいのは、常に「予算の関係で」と言い訳しなければいけないこと。それにしても「スペースガード」という仰々しい名前にしては施設がしょぼい。)
成田さんはJAXAのSSA活動の紹介。日本から観測できるのは東経68度から200度まで。500程度のデブリを定期的に観測できている。JAXAのデブリ分析は、JAXAが運用している衛星を基準に、その衛星に近づくデブリを観測するという方法で整理している。アメリカがやっているようなモデルを構築して分析するということではない。各国のデブリ監視の担当者とデータを交換して、データの確認をしている。衛星を基準にみているので、デブリがどう動いているかが見えておらず、その分析ができないことが課題。2011年は100回のアラートが出て、30回くらいの接近があり、2回デブリ回避の運用を行った。JAXAは独自のデブリ低減ガイドラインをもち、国際的なガイドラインと合わせて運用している。
(鈴木:日本の場合、やはりSSA能力が限られているため、自分たちが軌道を知っている衛星に焦点を当てて、その近傍のデブリを見ているので、どうしても国際的なコンテキストからは外れている印象がぬぐえない。自分のことだけをやるというのは最低限のことだが、それ以上のことが求められているのが現状なので、それにどう対応していくのか、ということがこれからの課題だろう。)
スカパーJSATの篠塚さん:数年前からCSM(Conjunction Summary Message)データを受けるようになり、年に3-4件のアラートを受けることになったので驚いている。放送通信衛星は静止軌道に位置しているので、デブリの心配はないと考えていたが、アラートを受けているので、認識を変えているところ。スカパーJSATは15機の衛星を運用している。静止軌道は抵抗がないため、デブリが発生するとそれが自然落下していかないので、デブリが生まれると軌道が「汚染される」。CSMは46の連絡があり、そのうち12は管理された物体。34の連絡がある(複数衛星を運用しているので、同じデブリで複数の通報が来る)。きちんとDeorbit(軌道離脱)をせず、ドリフトしている衛星がデブリとして接近してくるケースが多い。無責任に運用を終了した衛星があると、繰り返しその衛星に悩まされることになる。静止軌道は軌道位置(経度上の位置)によってデブリのリスクが変わってくる。また、ロケットの残骸などは楕円軌道を描いて動くため、比較的短い周期(数時間単位)で静止軌道に接近してくる。高い頻度で接近してくるため、リスクの高いデブリの場合、運用が難しくなる。民間企業であるスカパーJSATが他の国の軍事衛星と運用上の問題が発生した場合、政府(総務省・外務省)を経由して調整しようとしたが、軍が相手の場合、きちんと対話することが難しく、運用を調整する仕組みが存在していない。静止軌道も軌道修正する必要があるため、東西軌道制御をするスケジュールをずらすことで、物体の接近を回避することができる。その意味で、きちんと情報が集まっていれば、負担を大きくすることなくデブリ回避をすることができる。
(鈴木:静止軌道のデブリ回避問題については、あまり事例がないため、なかなか面白い報告であった。静止軌道の問題は、数年前に起こったIntelsatの衛星がコントロールを失った件があるが、この事件をきっかけに静止軌道での民間企業の情報共有が進んでいる。スカパーJSATもきっとこれがきっかけでCSMを受け取ることになったものと思われる。いずれにしても静止軌道でもデブリが問題になっているというのは大変興味深い。特にこの軌道は民間企業が多いので、グローバルなガバナンスにおける官民協力が不可欠なだけに、新しいガバナンスの仕組みが生まれてくるのかもしれない。)
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二日目の午後はIAASS(国際宇宙安全推進協会)のアレックス・スーンス氏。1996年から2006年までのデブリ発生の傾向は、それ以前に比べ、非常に落ち着いてきたのに、2007年の中国による衛星破壊実験および2009年のコスモスとイリジウムの衝突によって急激にデブリが増加した。デブリが増えるとケスラー・シンドロームというデブリが他の衛星やデブリにぶつかってどんどん数が増えていく現象が起き、そのため近年に入ってデブリの衝突や衛星同士の衝突が増えてきている。低軌道には2600の使われていない衛星が存在しており、衝突のリスクは大きい。小さなデブリの除去はコストと効果のバランスが悪い。除去するなら大きなデブリを中心とすべきだ。ランデブー技術はすでにあるので、デブリ除去は技術的に可能。しかし、デブリを除去しようとして動かすことで、他の衛星にぶつかる可能性もあり、デブリ除去がデブリを増やすという皮肉な結果をもたらす可能性もある。「何がデブリなのか」という定義も難しく、またそのデブリの所有権を持つ国が「デブリでない」と責任を逃れるために言い続ければ、デブリとして処理することが難しくなる。デブリを作り出した国が責任を持つ、という形にすれば、当然、こうした問題は起こってくる。また、打ち上げ国、宇宙物体として登録した国、衛星の運用国が違う場合などは、誰が責任を持つのかという条約上の問題も出てくる。
(鈴木:デブリ除去は、活動中の衛星を無力化する技術でもあるため、それを法的、政治的に制御するのは難しい、という点が十分議論されていなかったような気がする。本質的な問題はそこにあるのに・・・)
(鈴木:IAASSは宇宙空間の安全確保や持続的利用について活動している民間団体で、宇宙デブリ問題については長らく取り組んできた組織です。ここでは、デブリ除去技術の研究や法的・経済的・政治的側面の低減をしています。)
(鈴木:本来20分の割り当てで、スタッフが時間が終わったとサインを出しても、それを無視して20分も話し続けるという神経の太い方だった・・・。運営側としてはこういうのが一番困る・・・)
次はアメリカのSecure World Foundation(SWF)のヴィクトリア・サムソン氏。ランデブー技術は重要な技術だが、その技術が持っているリスクも考えなければならない。SWFはこれまでランデブー技術の技術的、法的、政治的側面での対話を続けてきた。そのためには、SSAの協力枠組みが必要。特に非軍事のSSAユーザーが増えていることから、SWFは独自でグローバルSSAデータベースを構築し、各国との協力を呼び掛けている。また、民間衛星オペレーターの組織である宇宙データ協会(SDA)の設立にも協力している。
(鈴木:このSecure World Foundationは個人の基金で設立されているシンクタンクで、宇宙の持続的利用を中心に研究、提言をしている。実は私はこの財団の諮問委員(Advisory member)で、この財団のスタッフや活動はずっと見てきている。国連の会議でも招かれて、非国家メンバーとして議論にも参加する組織なので、実力のある組織。ただ、何分所帯が小さいので、なかなか思い通りに活動できていないのが課題。)
(鈴木:グローバルSSAデータベースは、公的に使えるデータに基づき、民間のオペレーターや天文台のデータなどを使いながら作り上げたデータベース。)
最後のスピーカーは欧州宇宙政策研究所のヤナ・ロビンソン氏。宇宙空間の持続的利用については、これまで様々な国際的提案がなされてきたが、トップダウンの提案(政府が主導する提案)とボトムアップの提案(現場や個人のレベルから上がってきた提案)がある。宇宙活動に関与する主体は政府であれ、民間であれ、自発的にデータ共有しなければ宇宙空間の持続的利用はできない。透明性と信頼醸成措置(TCBM)がカギとなる。デブリ除去のためのランデブー技術は宇宙兵器にもなりうる。それを避けるためにはTCBMが存在し、誤解が起きないようにすることがカギ。しかし、TCBMは国際的なオープンな場で議論することが難しい。各国の利害が対立する機会が多くなってしまう。信頼関係を構築するためにも、ホットラインや対話のしくみを制度化することが必要だ。デブリ低減活動は、まだベストプラクティスが実践されていない。信頼関係を作ることに
ためらう国もあるが、TCBMの必要性がなくなるわけではない。
(鈴木:この欧州宇宙政策研究所も設立された時からお付き合いがあり、この研究所の外部研究者ネットワークのメンバー。このスピーチは組織としての意見ではなく、研究者としての彼女の意見。)
(鈴木:彼女の議論は何回も聞いているが、日本での議論の中で最も欠けている論点を提示してくれたので非常に良かったと思う。ただ、残念ながら時間が足りず、駆け足になってしまったことがもったいない。)
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パネルディスカッション:
吉冨氏(日本宇宙フォーラム):日本のSSAの能力を他の国の観測能力と比較して日本の能力に限界があるという説明。日本は将来的にはデブリの回収などで貢献できるが、直近の課題はSSAの能力を高めること。現在、1m以下のレーダーの改修を検討しているが、それだけでは不十分。人材の育成など、やらなければいけないことがたくさんある。
マッキニー氏(国防総省):日本に求めるのはレーダーのサイズではなく、地理的な場所として東アジアで観測してもらうということ、様々なリソースを提供してくれることである。また、新たなデブリを作り出さないということも大事だ。
吉冨氏:地図で見るとユーラシア大陸のアジア側は全くカバーされていない。なので、日本がSSA能力を提供して、情報共有できるような状態になることが望ましいということは重要なポイントである。ヨーロッパはどういう状況なのか。
フレッチャー氏(ESA):衝突予測に必要なシステムを構築することを目指している。しかし、どれだけ効果的なシステムを作るのか、という問題と、どこまで幅広く観測するのかという問題はトレードオフの関係にある。SSAの目的は衛星を守ることであり、そうならないようにするためには効果的なシステムを作ることが重要だ。
アルビー氏(CNES):デブリの数から考えれば、大量のアラートを受けることになるだろう。そのためにも精度の高い観測能力が必要であり、不要なアラートを減らす必要がある。
堀川氏(JAXA/UNCOPUOS):JAXAでは宇宙ステーションを担当したが、その時デブリ対策をやった。1cmのデブリと衝突しても大丈夫なようにはしたが、確率的に10cm以下のもの(地上からとらえることはできない)が当たらない、という前提で考えていたが、そのリスクは思ったよりも高いのではないかと考えるようになった。
マッキニー氏(国防総省):1961年にSSAを始めたが、それから改良を重ねている。より高い精度を得るためにSバンドのレーダーを使うことを予定している。
吉冨氏(日本宇宙フォーラム):日本が国際的な枠組みのなかでどう位置づけられるか、ということが問題となってきている。JAXA法も改正により、JAXAも積極的にかかわれるようになってきた。これは人類共通の利益だ。日本はこれまで厳密な平和利用を進めてきたため、出遅れてきた。日本は何に気を付けていけばよいのか、パネリストに聞きたい。
ローズ氏(国務省):この分野で日本とできることはいろいろとある。宇宙基本法ができたことで、アメリカは日本との対話を2010年から強化した。閣僚レベルでの宇宙安全保障フォーラムができるようになった。TCBMやSSAの側面で協力することを議論している。実践的な協力ができるようになった。SSAでの協力が重要だ。
マッキニー(国防総省):最も重要な問題はデータポリシーだ。どうやってデータを共有するか、誰がどのようなデータにアクセスできるか、アメリカでもNASAと国防総省は異なる機関であり、常に対話しながら調整している。データポリシーと対話だ。
ローズ氏(国務省):アメリカは2010年に国家宇宙政策を出したが、これは「全政府アプローチ」で作った。国防総省もNASAも他の機関も参加している。現代は軍民の区別が難しくなってきている。ゆえにWhole of governmentアプローチをとり、縦割り(Stovepipe)を越えなければならない。それによって効果的な宇宙政策ができる。
マッキニー氏(国防総省):GPSは軍のシステムだが、PNT調整委員会があり、民生機関も一緒になって政府内でWhole of government approachで対応している。軍民両用技術はそういうやり方しかない。
堀川氏(JAXA):軍民両用の間のデータポリシーの問題は、どういう線引きをするかが難しい。対話をするのが当然だが、どこで線引きをしているのか聞きたい。
フレッチャー氏(ESA):ESAも平和的利用原則があるが、ガリレオ(欧州版GPS)やGMES(Global Monitoring for Environment and Security)などで軍民両用分野に踏み込んでいる。SSAも軍民両用だ。ESAは軍事目的の衛星は持っていないが、加盟国は持っている。なので、ESAと加盟国の間で対話をして、透明性を高めて運用するようにしている。
ヴィルト氏(DLR):ドイツはESA、EU、ドイツの間で宇宙関連予算を分けている。ドイツは最大の財政貢献をESAにしている。ドイツから見るとESAは技術開発機関であり、EUはサービスを提供する機関であり、ドイツのDLRは研究開発をしてESAにインプットする活動をする。ドイツのレーダー(TIRA)は欧州最大だが、これは国の施設ではなく、研究機関の設備である。しかし、政府や欧州のリクエストにこたえる活動をしてもらうために、政府からの資金拠出をしている。
ローズ氏(国務省):2010年、議会は国防長官にSSA協力協定を結ぶ権限を与えた。アメリカとフランスでこの協定が結ばれた(他にもカナダとの協定が結ばれた)。これは政治的な協定であり、具体的なプログラムではないが、これから技術的な詳細を詰めるための政治的な枠組みである。
マッキニー氏(国防総省):政治的な協力がなければ、SSAの技術的な協力はできない。これは技術的な問題だけではない。
ローズ氏(国務省):同時に米軍戦略空軍が積極的に国際協力に関わっていることは重要である。これも戦略空軍のリーダーシップが効いている。
アルビー氏(CNES):アメリカとの協力は、ロシアのフォボス・グラントの再突入の追跡で初めて活用したが、データ共有の重要性が認識できた。一国だけ、ヨーロッパだけだと軌道の一部しか見えない。地理的に広がった観測施設が必要だ。そのためにも国際協力が必要だ。
山川氏(戦略本部事務局):新しい宇宙政策体制が早ければ4月にできる。2008年の宇宙基本法に安全保障は組み込まれていて、今回の改正で宇宙基本法に合わせてJAXA法を改正するが、現時点でJAXAが何か防衛の仕事をしているわけではない。日本はロケットを打ち上げるときも、JAXA、米国との調整をし、衛星を上げるときも電波の干渉を避けるために国際的な調整を行う。それと同じ意味でSSAにかかわる意味がある。日本の地理的な意味の重要性も理解している。
しかし、日本の予算が限られており、デブリの対策にどの程度予算をかけられるのか、ということを考えなければならない。そのためにも国際協力、対話が重要。こうした対話については測位衛星の会合などでも実体験しており、顔を合わせて信頼関係を築くことは大事だと思う。
欧州の例に見るように、軍民の協力をするうえで、やはりデータ共有、データポリシーが大事。それを考えたうえでハードウェアの仕様を考える必要がある。
吉冨氏(日本宇宙フォーラム):TCBMが大事なのはわかるが、アジアには中国やインド、その他いろいろな国で衛星を持ち始めているが、日本がアジアの国々とどう付き合えばよいのか?
ローズ氏(国務省):アメリカから見れば日本は重要な同盟国。また日本は宇宙活動、TCBMでも共有する価値を持っている。日本は独自にアジアの国々と関係を作ってきた。
その関係を使ってアジアの国々とTCBMについて議論をする機会を作ってほしい。新興国に関与することは非常に重要である。彼らが責任を持った宇宙利用をすることが大事なポイントだ。その意味でも日本がこれらの国々との関係で重要な役割を果たせると思う。
堀川氏(JAXA/COPUOS):国際協力というのはギブ・アンド・テイクだと考えてきたが、近年、いろんな国が技術を持つようになった中で、SSAだけでなく、お互いにどのような宇宙政策をやろうとしているのか、どのような技術水準にあるのか、どのような設備を持っているのか、ということを踏まえ、どのように情報交換をするのかというところまで考えて関係を作ることになっている。その意味でも信頼感がなければならない。その信頼感を作るための努力としてAPRSAF(Asia-Pacific Regional Space Agency Forum)があるが、まだSSAや宇宙の持続的利用という話はできていない。ラテンアメリカ、アフリカでも地域での活動が進められている。そうした地域協力の結節点としてUNCOPUOS(国連宇宙空間平和利用委員会)がある。そういう関係づくりを支援していきたい。
吉冨氏(日本宇宙フォーラム):日本から見ると、欧州は規模も性格も似ている。その観点からコメントを。
フレッチャー氏(ESA):確かにデータ共有などはチャレンジングな問題だが、技術的な問題を解決することも難しい課題。欧州は複数の国が集まっているので、Work togetherするだけでも大変。各国が異なる要求や要望があり、技術レベルの違いや予算の違い、政策目的の違いなどがあり、調整することは大変困難であるが、それをやるのがESAの役目。
ヴィルト氏(DLR):技術者たちにもルールやガイドライン、スタンダードなど、単なる技術だけではない、政治、経済、法律といった問題に対する意識を高めるように努力している。技術開発や品質向上をするためにも、こうしたルールや法制度などにのっとって進めていくことが大事だ。
アルビー氏(CNES):欧州はそれほど複雑ではない。いくつかのプログラムは国家でやり、国家でできない規模の物はESAでやる。
山川氏(戦略本部事務局長):日本は国際協力をしなければいけない国である。SSAは民でも軍でもない。宇宙全体の問題である。そういう認識を持つようになった。アジアでの役割は「一緒にやっていく」部分と「競争する」部分があるが、デブリの問題だけでなく、様々な衛星システムの問題と関連してアジアでのリーダーシップを発揮する必要がある。
吉冨氏:こういうテーマがようやっと日本でもできるようになった。これをきっかけに日本の役割を高めて行きたいと考える。
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以上、「人類の持続的宇宙開発利用のための国際シンポジウム」のメモでした。
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