2012年10月23日火曜日

第三回大統領候補討論会

先ほど、第三回の大統領候補討論会が終わった。今回は外交・安全保障がテーマであったにもかかわらず、かなりの時間が国内政策、経済政策に割かれ、本来議論すべきテーマからどんどん外れていく討論会だった。

全体の印象としては、勝ち負けがつけられるような討論会ではなく、グダグダな討論会という印象。ただ、ロムニーは過去に発言した内容とずいぶん立場を変え、なんだかいい加減な印象を受けた。外交・安全保障は一般的に現職大統領が事実関係を押さえていて、有利に進められる討論会だが、今回もそうだったといえよう。オバマは「信憑性(Credibility)」という話を持ち出したが、ロムニーの発言がコロコロ変わるという点を踏まえていえば、オバマはきちんと自分の立場がはっきりしており、実績もあるので、この攻め方は適切だったように思える。

とはいえ、中身がグダグダで、何とも評価しにくい討論会だった。以下は討論会を見ながらメモ代わりに発信したツイートです。

第三回大統領討論会が始まった。オバマはいきなりロムニーの過去の発言に攻撃をかけた。確かに過去のロムニーの発言はいい加減なものが多かったが、ロムニーが「私を攻撃することで事態は良くならない」として反撃。最初の質問はロムニーが取った感じだが、あまり中身のない議論になってしまった。

二問目はシリア問題。ロムニーはアメリカがもっとリーダーシップを発揮すべきだといったところで、オバマは「まさしく我々がやっていることだ。この問題に両者の違いはない」と切り返し、引き分け。

三問目はエジプトの問題。ムバラク大統領に執着すべきだったか、アラブの春にどう対処すべきか、という質問だったが、ロムニーは過去にオバマの立場を支持していたので、議論にならず、いきなり「世界は平和なところになるべきだ」とアメリカ外交の一般論を展開。ロムニーは攻め手がない感じ。

次の質問は世界におけるアメリカの役割。オバマはロムニーがブッシュ政権の人たちからアドバイスを受けていることを指摘。ロムニーは強力なアメリカには強い経済が必要、と経済政策を滔々と語りだす。

この第三回討論会は外交・安保がテーマなのに、ロムニーが経済の話をはじめ、オバマがそれに応じ、今度はロムニーが教育政策について語りだした。司会の人は「外交政策に戻りたいんですけど…」といっても両者は止まらない。なんだかグダグダ。

司会は「ロムニー候補は海軍の拡張を主張していますが」という質問に対し、「軍の予算は削らない。私が削る予算は…」といってオバマの医療保険制度の批判。オバマはロムニーの減税プランを批判。誰も外交・安保の話をしていない…。

ようやっとロムニーが海軍拡張の話をし始めた。ロムニーは今は海軍の船が少ないから増やすと言い、オバマは今の時代、船の数で戦争するわけではない。馬の数で戦争するわけでもない。能力が問題と切り返す。これはオバマの勝ち。

今度は同盟に関する質問で、日本との同盟も質問には入っていたが、オバマはイスラエルとの同盟とイラン情勢についてのみ語る。ロムニーはイランへの制裁強化を主張するが、オバマの議論とそれほど変わらず、インパクトに欠ける。

オバマはNYTの米イラン核協議のニュースを否定。制裁を継続し、それが効果を上げていると主張。ロムニーはオバマ政権が国際協調路線やカイロ演説などを批判し、アメリカの弱さを見せたと主張。ロムニーの話はなんとなくネオコン的なナイーブさを感じる。

オバマは中東地域における外交で誰がCredibilityを持っているか、という問題設定。イラン制裁、対テロ対策、中東の人権などの実績を強調し、オバマがCredibilityがあると強調。面白い議論になってきた。

アフガン、パキスタン問題について、オバマ政権がやっていることを基本的に承認するロムニー。しかし、テロをなくすための包括的な政策を行っていないと主張。強いアメリカのリーダーシップでテロをなくす政策を展開すると言っている。強いアメリカに皆ついてくるという世界観がにじみ出ている。

司会が「アメリカにとっての脅威は?」という質問に対し、オバマはテロリストの次に中国を挙げた。中国に甘いという姿を見せたくないのだろうか?その後の話は経済の話になり、国内の経済(雇用)政策になっている。ロムニーはそれに応じ、中国を為替操作国にすると主張。

オバマは「ロムニーは中国をパートナーだというが、その通りだ。中国への投資で儲けていたからだ」と批判。この批判は今日二度目。

中国の話をしていたのに、自動車会社の救済の話にすり替わって行ってしまった…。中国=雇用=産業政策というのはわかるが、外交の話じゃないよぉ…。しかも、雇用、産業政策についての議論に一番力が入っている…。

もう討論会終了。司会のシーファーは何をやってるんだ。外交安保の話は全体の半分もなかった。日本、欧州、南米、エネルギー、温暖化もほとんどなかった。オバマ、ロムニーの締めの言葉も経済の話。それだけアメリカが内向きになっているということなのだろう。

以上です。

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